ダバオ医科大学付属プライマリヘルス研修所(DMSF-IPHC)職員ジョン・アーロン様
お招きいただきありがとうございます。貴クラブのフィリピンへの支援事業におきまして、支援先の地域と貴クラブとを結ぶ役割をさせていただいておりますIPHCの職員のジョン・アーロンと申します。2016年にアジア保健研修所(AHI)の国際研修に参加しました。今回はAHIのスタッフとともに8月下旬から5週間の研修のコーディネーターを務めました。
今日は、私自身がある女性グループの育成に携わったときの経験から、地域での保健活動について2つのことをお伝えしたいと思います。ひとつは、健康は、健康だけの問題ではないということ。それは言い換えればふたつめの点、健康は多様な領域の多様な人・組織が関わって初めて実現するということです。
この女性グループは、ダバオ市内の貧困地区の女性たちが15年ほど前に立ち上げたものです。当時彼女たちは様々な問題を抱えていました。家計が苦しいというほかにも、病気の家族を抱えている人もいました。問題を解決していこうにも、彼女たちには家庭や地域で発言したり物事を決めたりする権限もありませんでした。
そのような中、最初に取り組んだのが、状況を分析的に見ることでした。問題として表面に現れていることの背景や原因をみんなで話し合いました。その中で何から始めていけばよいかがはっきりしてきたのです。
住民がまず保健の知識を身につけることが重要でした。IPHCは、住民リーダーや女性グループのメンバーを対象に保健教育を行いました。そして、現金収入を上げるためにできることを話し合いの中から見出していきました。さらに、いくつかの取り組みがその後も継続されるように、住民のリーダーシップ育成の研修も行いました。
この女性グループは、活動を継続し、少しずつ実績を積み重ねていきました。そして、IPHCや教会などの協力を得て、行政の補助金や民間の財団からの資金を獲得することもできるようになっていきました。住民による活動の継続やグループの育成は一足飛びに進むことはありませんし、活動が衰退してしまうこともしばしばあります。そのような中、このグループは活動を継続し、メンバー自身によって運営が行われています。今後も期待したいグループのひとつです。
ロータリークラブが国際的に取り組まれているポリオ撲滅キャンペーンのように、ひとつの特定の病気をなくす集中的な取り組みは、非常に重要です。それはいわば「垂直方向」のアプローチです。
同時に、今日お話した「水平方向」のアプローチも重要です。垂直方向のアプローチを活かす基盤であるとも言えます。地域住民が地域内外の多様な人・組織の協力を得て健康的な地域を作っていくための支援を、今後も続けていきたいと思っています。

公益財団法人アジア保健研修所
高田弥生様
林かぐみ様
ジョン・アーロン・M・ランバブ様
大橋会長
公益財団法人アジア保健研修所(AHI)公式サイト
https://ahi-japan.jp/