卓話「特装車・特装車両・架装車両について」

若曽根広康会員

若曽根広康会員

卓話者:若曽根広康会員

【特装車・特装車両とは?】

特装車・特装車両とは、特定の目的のために特別な機械及び装置を取り付け、これを自動車の動力で駆動する自動車のことです。これらの車両は、自動車メーカーによって製造された運転台(キャビン)と車台(シャシー)の状態で特装・架装メーカーに納入され、目的や用途に応じて装備の設計・製作された車体(架装部分)が組み合わされて完成します。
代表的なものには、タンクローリー、コンクリートポンプ、クレーン車、ダンプカー、パッカー車(ゴミ収集車)、消防自動車などがあります。

【架装車とは?】

元々「架装」は「加装」と表記していたという説もあります。つまり架装車とは、「装備を加えた車」という意味になります。一般的に言う「改造」と同じ意味にとらえていただいても差し支えないと思います。
業界ないでは「一次架装」と「二次架装」と言う2つの言葉があり、「一次架装」は車体の形状そのものを変えること、「二次架装」は車体に補足工事によって何かを付加することを言います。

【架装車の種類】

  • 平ボディ
    フラット型(特に何も乗っていない状態)の荷台を持ち、積み上げや積み下ろしの利便性が高いのが平ボディ車です。クレーンを装備したり、リヤゲートをパワーゲートに変更したりと、状況に応じて様々なものを運搬できる汎用性の高いトラックです。
  • アルミバン・パネルバン(バンタイプ)
    荷台部分が箱形になっていて、運送に特化したタイプの車体をバンタイプやバンボディと呼びます。これらの車体は、荷物を風雨や湿気から防いでくれるほか、平ボディの車体に比べ、荷台全体を箱で覆っている構造なので安定感が高く、多くのものを長距離運ぶことに向いている車体です。この車体に、荷台内部の温度を保つために断熱機能をもたせたものが「保冷車」です。
  • ダンプトラック
    ダンプトラック

    ダンプトラック

    ダンプトラックは、荷台を持ち上げ傾けることによって積荷を一斉に下ろすことができるのが特徴です。傾ける方向が後方なら「リヤダンプ」、横方向なら「サイドダンプ」、横と後ろの3方向に傾く場合は「三転ダンプ」とそれぞれ呼ばれています。
    また、ダンプする荷台が深く、同じ最大積載量でも比重の軽いものをより多く載せることができる様に設計されたものを「深ダンプ」、荷台が傾きながら後方にスライドして地面に接し、重機などを乗せられる形状の車両を「スライドダンプ」と呼んでいます。

  • パッカー車
    パッカー車

    パッカー車

    パッカー車は、ゴミ収集車や塵芥収集車とも呼ばれます。車体の荷台部分にゴミを収集するための装置があり、一度に大量のゴミを回収・運搬できる構造となっています。

  • タンクローリー
    タンクローリーは、液化ガスや薬品・水などの様々な液体、細かく砕いた粒子状のものを運ぶための車両です。タンクローリーを運転するためには、運転免許の他に運ぶ物に応じて「危険物」や「毒物」などの資格を取る必要があります。水を運搬し、運んだ水を周りに放水する機能を持った「散水車」というタイプのタンクローリーもあります。

【架装メーカーの紹介(一部)】

アイチコーポレーション
名古屋市瑞穂区に設立したのでアイチコーポレーションということです。業界で高所作業車や穴掘建柱車などで有名。

加藤製作所
各種クレーンが現在の主力商品で有名で、他にも油圧ショベルやアースドリル、除雪車、路面清掃車などなど幅広い範囲の特装車を取り扱っています。

北村製作所
アルミバン、保冷車、冷凍車などといった箱型の荷台を架装するメーカーとして有名ですが、それよりも前はバスの車体を製造するメーカーとして知られていました。

極東開発工業
ダンプ、ミキサー、コンクリート関係の車などで有名なほか粉粒体運搬車やごみ収集車など少し変わった商品が多め。

古河ユニック
“ユニック”の名称でおなじみの古河ユニックは、その名の通りクレーン関連に特化していて、車載クレーンの国内最大手メーカーとして知名度も高い。

タダノ
香川県に本社のある重機・建機メーカーで、主にクレーン類や高所作業車、レッカー車などで有名な製造・販売するメーカーです。ラインナップ中の現行車種のカタログをインターネット上ですべて公開しているというITに強い?メーカー。

以下は日経テレコンより引用。

特装車・特装車両の市場動向

震災復旧、公共工事で特装車は堅調
特装車は中小型(車両総重量1.7トン超~2.5トン以下と3.5トン超~12トン以下)のトラック・バスなどを対象に、2011年9月から適用された排ガス規制「ポスト新長期規制」に伴う駆け込み需要で生産台数が増加した。また、東日本大震災の復興需要により、ダンプ車やミキサー車、脱着コンテナ車などの復興関連特装車の販売台数が特に増加、その後も同様の流れを引き継いだ。特装車のシャシーとなるトラックは02年以降、自動車NOx・PM法をはじめとする排出ガス規制により、07年頃まで代替特需が発生したため、特装車の生産台数も一時的に増加した。
しかし、特装車の生産台数は最高だった03年度(7万872台)の約78%の水準にとどまっている。20年度の生産台数は前年度比9.3%減の5万5128台、特殊車は同2.3%減の1万1805台だった。(2022/03/19調査)

特装車・特殊車両の競合状況

タダノの4~12月期、売上高5%増
特装車の架装メーカーの大手としては、極東開発工業と新明和工業が挙げられる。この2社は架装に加えて、ダンプ車やタンクローリー、トラックミキサー車、環境衛生車などの車体製造も手掛けている。
極東開発工業はタンクローリーとコンクリートポンプ車に強みがある。同社は2020年9月、インド同業大手のサトラック・エンジニアリングを買収した。インドで住宅・インフラ建設向けにトラック需要が伸びるとみて、サトラックの顧客網を取り込み低価格帯の製品を強化する。極東開発は別の現地メーカーと10年に設立した合弁会社を解消し、生産設備や人員をサトラックの工場に集約する予定だ。同工場はスウェーデンのボルボなど取引先工場と近く、輸送費を削減できるという。あわせて中国勢と価格競争が激しいミキサー車事業は撤退も含めて検討。事業の効率を高める。(2022/03/19調査)

2022年4月12日 | カテゴリー : 卓話 | タグ : | 投稿者 : gifunakarc