卓話者 職業奉仕委員会 秋保賢一委員長
「職業奉仕」はロータリークラブの金看板と言われていますが、その実、ほかの「奉仕」に比べてわかりにくく、ロータリー以外の人に説明するのに難しい奉仕部門ではないでしょうか。
クラブ奉仕がクラブのため、国際奉仕が国際関係のため、というように目的論的な概念であるのに対し、職業奉仕だけが「職業を通して」という方法論的な概念として捉える向きがあったためではないでしょうか。
職業奉仕も「職業を道徳的ならしめるため」という、職業そのものに向けられた目的論として捉えると理解しやすいと思います。
では何をすればいいのでしょうか?それはみなさんもお解りの方も多いと思いますが、顧客に適正な価格で物やサービスを提供し、従業員にもその労に報い、仕入れ先を大切にするという至極まっとうな事ではないでしょうか?このような考え方はキリスト教でもプロテスタントが信じたことで、資本主義発展の原動力でもありました。ポール・ハリスの祖先はイギリスの宗教弾圧から逃れてメイフラワー号でアメリカにたどり着いた「ビルグリムファーザーズ」の一人と言われています。その精神は彼の子孫でもあるポール・ハリスにも受け継がれたことと思います。
勤勉・誠実・中唐・謙譲などピューリタンが考える徳目が職業奉仕という概念となり、やがてロータリーの金看板と言われるようにまでなりました。日本のロータリアンはとりわけこの「職業奉仕」が好きで、その理由の一つは江戸時代に石田梅岩が開いた「石門心学」が商家における心構えを説き、勤勉・誠実・質素倹約などピューリタンにも通ずる考え方を全国に広め、それは商人のみならず武士階級にまで広がったと言われております。そのような素地がある日本で、ロータリーが広がったことはある意味必然と考えられます。 各クラブの職業奉仕委員長はクラブ内で「職業奉仕」の意味を説き、会員各位が地域社会で信頼される「業者」となるよう努力してください。それがやがて会員獲得にもつながれば幸いです。
【引用】「職業奉仕についての一考」亀井 喜久雄氏.2024-25年度 国際ロータリー第2630地区ガバナー