卓話 『法廷ドラマの嘘』

卓話者 秋保賢一副会長

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 なかなか職場例会としての法廷傍聴の企画ができずに申し訳ありません。
 過去に一度だけ職場例会で法廷傍聴を行ったことがあります。そのときは、丁度、良い事件に巡り当たったと言うこともあって上々だったと思います。
 ただ、決められた日に適当な事件に巡り会うかどうかは運任せですし、裁判員裁判が傍聴するには一番良いと思いますが、これも日程調整が可能か分かりません。耳目を集める裁判だと抽選になるので法廷に入れる人と入れない人が出る可能性もあります。
 ということで職場例会としての法廷傍聴が今のところ実施できていないのでお詫びの印として法廷の実態はどういうものなのかを「法廷ドラマの嘘」を指摘するという形でご紹介しようかと思います。
 まず、「HERO」や「イチケイのカラス」のように年がら年中、現場に行っていたら事件が処理できませんし身が持ちません。基本的に捜査は一次的には警察の仕事であって検事は指揮監督するだけです。裁判官が、「職権発動」して現場に行くというようなこともないとはいいませんがそんなに多くはありません。
 ドラマでは証人尋問の時に質問せずに自ら事件の真相はこうだと語り出す弁護人がいますが、かなり違和感があります。あるいは証人席の隣りに立って「真犯人はお前だ!」的な追及をするシーンも目にすることがありますが、そんなこともまずありません。また、ドラマではやたらと「異議」の申立がされますが、実際の法廷ではそれほどではありません。
 いきなり法廷にいる人物を証人申請したり、決定的な証拠が法廷に突然提出されることもまずありません。殺人事件などの裁判員裁判ではスケジュールが公判前整理手続でしっかり決められているのでサプライズは基本的にないといってもいいです。
 弁護士が主人公だと検事が極悪人になっていて平気で重要証拠を隠滅したり改ざんしたり証人を陰で脅したりとか、そういうシーンを目にしたりもしますが、まあ、基本的にそんなことはないです(ただし村木厚子厚生労働局長の事件では特捜部が証拠改ざんしたことがありました。)。
 ここからは、いくつかの法廷ドラマを紹介してみますが、全部個人の感想です。まず、映画として裁判のリアリティが追求されているなと思ったのは、「それでもボクはやってない」です。よく取材をされていると感じました。
 法廷ドラマの古典的名作としてはやはり「12人の怒れる男」でしょうか(実は法廷のシーンはちょっとだけ)。ついでに三谷幸喜の「12人の優しい日本人」を一緒に見るのも一興です。最近では、クリント・イーストウッドが監督した「陪審員2番」が面白かったです。自分だったらどうするか、主人公の立場に立って考えながら観るといいです。
海外のテレビシリーズの法廷ドラマに目を向けると「グッドワイフ」は私のお気に入りの1つです。「アメリカン・クライム・ストーリー」の第1シーズンは、いわゆるO.Jシンプソン事件が題材ですが、どういう経過でどういう結末になったかはよく知っているにもかかわらず目が離せませんでした。お勧めしておきます。

 最後に法廷傍聴のやり方をご紹介します。
 民事事件よりも刑事事件がお勧めです。入口を入ってすぐのところに期日簿が置いてあるので面白そうな事件を選びます。静かに出入りすれば、誰でも自由に傍聴できます。入門編としては、窃盗とか覚醒剤とかで1回で起訴状朗読から論告求刑・最終弁論までやって結審するものが事件全体を見渡せるのでいいでしょう。裁判員裁判は、裁判員向けのプレゼンテーションを傍聴人もモニターで観ることができるので一番良いです(ただし抽選になることがあります)。本当にヒマだったら老後の趣味に裁判傍聴はいかがでしょうか。

例会風景
2026年2月24日 | カテゴリー : 卓話 | 投稿者 : gifunakarc