卓話「青少年奉仕部門について」

青少年奉仕委員長 故金正司「青少年奉仕部門について」
青少年奉仕委員会 委員長 故金正司

1.五大奉仕
(1)クラブ奉仕・・・クラブの機能を充実させる
(2)職業奉仕・・・職業の道徳的水準を高め奉仕の理念を実践していく
(3)社会奉仕・・・人々の生活の質を高めるために行う会員のさまざまな取組み
(4)国際奉仕・・・他国の人々を助けることを目的とした会員が行う親善、平和行動
(5)青少年奉仕

2.青少年奉仕について
(1)若い人々の多様なニーズを認識しつつ、よりよき未来をもたらすために彼らの生活力を高めることによって、若い人々に将来への準備をさせることは、各ロータリアンの責務である。
(2)すべてのクラブと地区は新世代の基本的ニーズ(健康、人間の価値、教育、自己開発)を支援するプロジェクトを立ち上げるよう奨励されている。

3.奉仕プログラム
(1)ライラ・・・ロータリー青少年指導者養成プログラム
(2)インターアクト・・・12歳~18歳までの青少年のための国際ロータリーの奉仕クラブ
(3)ローターアクト・・・18歳~30歳までの青年男女のためのロータリーが提唱する奉仕クラブ
(4)青少年交換・・・1年間、母国以外の国々のホストファミリーと生活を共にし、学校へ通う

卓話「歯科用CTについて」

「歯科用CTについて」 竹村安史会員
竹村安史会員
近年、医科では詳細な診断にはCT画像が使われているが、設備費用が高額であり大病院にしか設置されていない。しかし3次元的な画像把握ができるため2次元画像では診断が困難でスキルを必要としていたものが、CTでは容易に診断が可能となった。

歯科においては、ここ10年でインプラント治療の普及に伴い、歯科用CTの開発が進められ診断治療に用いられるようになった。当院においても移転に伴い、2次元のデジタルパノラマ撮影用装置が故障し修理不能となったため、導入する運びとなった。
当院で導入した歯科用CT装置は顔面の3分の2を撮影することができるため、口腔内だけでなく上顎洞も撮影範囲に含まれるので、上顎洞炎の診断にも有用で、会員のFさんの歯痛が歯原性のものでなく、上顎洞の炎症による可能性を判断でき、耳鼻科への紹介となった。
もし、インプラントによる治療を受けられる場合は、歯科用CT装置があるところで治療を受けられることを
お勧めします。
また、インプラント治療は良い治療法ではありますが、すべての症例で適応症となるものではありませんので、
ご注意ください。

2018年8月28日 | カテゴリー : 卓話 | タグ : | 投稿者 : gifunakarc

職業奉仕について(2)

秋保賢一 会員
秋保賢一会員
安藤会員からパスト会長として職業奉仕について話をするようにとのご依頼を頂戴しました。
もともと当時のシカゴが無法地帯であり,信頼できる仲間と安心して取引したいというところからロータリークラブが始まっていますので,親睦と職業倫理の確立が出発点であったと思います。その後,単なる互恵取引の利己的な団体だという批判が出てきたため社会奉仕活動も行うようになっていきます。
そして,後に国際ロータリーの会長に就任するハーバート・J・テーラーが倒産寸前の会社の建て直しを依頼された際に「四つのテスト」を思いついて,従業員に徹底した結果,見事再建に成功したとされています。もともとは,地元で次々に新しいお店ができてはつぶれていく中でずっと生き残っているお店があり,なぜだろうと思ったところからヒントを得たとされております。正直でまっとうな地元の人に信頼される商売をすることが継続的な事業経営のために必要であるということですね。つまり4つのテストは,もともとは安定的な企業経営のための戦略,コツだったわけです。
しかし,これは同時に職業倫理を示しているものでもあったので,テーラーがロータリークラブに版権を譲って以後,ロータリークラブの標語として使われるようになりました。
この「真実かどうか」というのは,もともとはその商品やサービスに嘘偽りがないかという意味であり,「みんなに公平か」というのはもともと「公正」と訳すのが正しいようであり,それが公正な取引と言えるかどうかという意味です。「好意と友情を深めるか」というのは,取引先や顧客との間で信頼関係を築けるかどうかということであり,「みんなのためになるかどうか」というのは,自分だけが利益を得るのではなく,相手方にも利益が生じているかどうか,つまりWIN・WINの関係になっているかどうかということです。なお,この「みんな」というのは,もともと,all concerned つまり関係者各位であって,従業員も含むと言われています。
その地域社会の色々な職業のトップの人たちが,この四つのテストに従って,信頼関係を基礎とした安定的,持続的な企業経営をしていく,平和共存的な取引関係を構築していく,そうすれば,その地域社会全体が安定的に発展するというのが,職業奉仕の考え方であると理解しています。それが日本全体,さらに世界全体に広まっていけば,最終的には世界平和につながるというのが職業奉仕の理想であると考えています。必ず取引の相手方のことを考える,相手方の損失や犠牲の上に自分の利益を獲得することを否定していくと,格差解消につながるのではないか,格差がなくなれば,国際紛争も起きなくなり,ロータリーの究極目標である世界平和が実現するのではないかという,そういう遠大な理想だと考えています。これは同時に企業戦略として捉えることも可能だと考えています。ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われている頃は,日本の製品は質が高く,日本の企業との取引は信用できるということで国際競争力を築いてきたのではないでしょうか。四つのテストは単なるお人好しにとどまらないと考えています。
この職業奉仕の理念,哲学は,本家のアメリカよりもむしろ日本に定着し,浸透しました。なぜかというと職業奉仕の理想と似たような考え方は,昔から日本にあったからです。近江商人の「売り方よし,買い方よし,世間よし」というのは職業奉仕の理念そのままです。4つのテストが発明される200年も前に日本の商人が同じ考えを持っていたわけです。職業奉仕の理念,哲学は,日本人の精神構造にもマッチしました。
ところが,本家本元のアメリカでは必ずしもそうではなくて,職業奉仕が軸足の右足だとすると対外奉仕の左足が,常に軸足をこちらに移すようにと働きかけてくるわけですね。そういう中で分離独立したのがライオンズクラブです。ライオンズクラブには,職業奉仕という考え方がないので職業分類もありませんし,例会もロータリーほど重視しません。ロータリーの場合は,例会が単なる親睦を超えて,その地域の色々な職業のトップの人たちが毎週集まって社会,経済について語り合う,職業奉仕の理念を自分の商売の中にどうやって実践していくかを考える場だということになっているために職業奉仕を重視することは,そのまま例会重視になるわけです。
その後も色々と紆余曲折があって,現在は,職業奉仕も対外奉仕もどちらも超我の奉仕という考え方のもとに統合されているものと理解しています。しかし,ここへきてRIが明らかに左足,つまり社会奉仕,国際奉仕,青少年奉仕そしてロータリー財団に軸足を移しています。いまや職業奉仕は忘れ去られようとしています。そこで日本の伝統的なロータリークラブが危機感をもって強く反発しているわけです。
私も個人的には,職業奉仕の考え方がなくなったら別にロータリーである必要もないのであって,ライオンズやその他たくさんある寄付団体やボランティア団体と何ら変わりがないことになりますので,ロータリーとしては,やはり職業奉仕の理想は大事にしていくべきであるし,これからも勉強していく価値のある理念ではないかと思っています。